レコーディング、音源制作への関わり方
- Yuuki Hara
- 3月3日
- 読了時間: 7分

レコーディングでは、アーティストやミュージシャン、エンジニアの他にも、多くのポジションの人たちが関わって行われます。
ディレクターであったり、プロデューサー、アレンジャー、楽器のテックなど、それぞれの立場でより良いレコーディングが行われるようにしいきます。
これはメジャー現場での一般的な話ですが、一部のメジャー、インディーズ、そしてアマチュアのレコーディングでは、アーティストとエンジニアだけで行われることも多々あります。
私はエンジニアとしてその場に関わることになるわけですが、エンジニアの仕事以外も求められることがあります。テイクのディレクションだったり、楽器のチューニングや音作り、現場の空気作りやスケジューリングなどです。
「これはエンジニアの仕事ではないから」
と切り捨ててしまう人もいますが、ともに作品を最高のものにしていきたいと思って関わる中で、そのバランスも重要だと感じます。
とはいえ、求められていないことまで口を出すのは躊躇します。
分かっていて言わない、分からないからできない、そういう時にきちんと対話しながら、より創造的なレコーディングになるようなら全力で参加します。
そういった事象が起きた時の一例や、考え方をいくつかお話ししてみようと思います。
・楽器のサウンドメイク
バンドの中には、プレイのことに集中していて録り音について思考が回っていない人を見かけます。
これは別の捉え方をすれば、経験が不足していることで録り音の良し悪しが分からない、慣れていないヘッドホンやスピーカーから音を聴くことで判断ができない、録り音についてはエンジニアがどうにかしてくれると思っているなど、理由は様々です。
エンジニア視点でこの音なら大丈夫、この音は後々問題が起こりそうだなど、経験と感覚で感じる時、私ならどちらの場合でもそのまま伝えます。
音が問題ないと思う時は、今鳴っている音の特徴(キックがタイト、歪み具合もちょうど良いなど)を伝えて、プレイヤーがイメージしている方向性とずれていないか確認します。
問題になりそうなサウンドの場合も同じで、こういう音はイメージしているサウンドと合っているか確認して、違っていればどうすれば思っているサウンドに近づけられるを一緒に考えます。
・テイク選び、ディレクション
RECしてプレイバックを確認すると、「このテイクはどうですか?問題ないですか?」と聞かれることはよくあります。
何度かレコーディングを行ってきたアーティストであれば、もっと良いテイクが録れる可能性があるか、これ以上続けると身体的、精神的な限界を超えて沼に入ってしまわないか、精神状態や顔を見て判断できます。
初めてのアーティストだと、そういったポイント、リミットが見えないので、バンドであればメンバーに相談しながら、もう少しトライするのか、どういう風にモチベーションを保ちながら進めるのがベストかを判断します。
テイクを聴いた時に、個人的に全然良い感じで問題ないと感じても、確認してきたアーティストは自信がないから確認したのか、良いテイクだと思って確認したのか理解できない場合は、簡単には返答しないようにしています。
こういった内容は、本来であればディレクターの役割で、エンジニアの領分ではありませんが、ケースバイケースで参加するようにしています。
・音源としてのアレンジ、ステレオイメージ作り
例えば、3ピース(ドラム、ベース、ギターボーカル)のロックバンドでギターを録る場合、ギタリストが考えてきたものが、バッキング、リード、ソロなど基本1本ずつということがあります。
こういう時、あえてバッキングを1本にしているのか、それともワイドにしたいけどダブルにするという選択肢を持っていないだけなのか、相談して決めていきます。
ボーカルのダブル、コーラスのダブルなども同じで、欲しいサウンドを確認して決めていきます。
普通はこうだからとか、とりあえず録っておこうかのような、その楽曲に対して本当に必要なのかどうか分からないまま録ることはしないようにします。
曲の展開に応じて、ミックスの時にこうなっていくかもしれない、録りでこういう音も録っておけばより壮大に、ダイナミックにできるかもしれないなどのアイデアが浮べば、相談して録ります。
・歌唱方法
ボーカルのレコーディングで、ピッチは悪くないのに何度やっても本人が納得いかない理由が分からず、そのままテイクを重ねていくと疲弊してしまいます。
こういう時、少しアクセントの位置を変えたり、スタッカートを入れてみたりといったちょっとしたアイデアで、急に腑に落ちるように歌が音楽にハマっていくことがあります。
歌の表現方法、歌唱方法というのはシンガーによって好み、癖など違います。より個性のでやすいパートです。もちろんレコーディングまでに何度も考え、歌って、ベストな歌を歌えるように努力してきていることもわかっています。
そんな中で、エンジニアが歌の歌唱について口を出す、というのは出過ぎた真似かもしれませんが、こうすればもっと良くなるかもしれない、納得できるボーカルになるかもしれないと閃いてしまったなら、私は助言してみるようにしています。
歌が上手い下手ではなく、たくさんの素晴らしい音楽を聴き、レコーディングし、シンガーよりもたくさんのこういった場面を経験しているからこそです。
もちろん、いつもうまくいくわけではありません。やってみてもしっくりこないかもしれないし、言われても試してみることを嫌がる場合もあります。歌に口をだしてくるエンジニアにはもう頼みたくないと思うかもしれません。
多くの人の心に響く楽曲や歌というのは、アーティストの当初イメージしていたものをそのまま出せば叶うものでもないと思います。より素晴らしいものにしていくために、心に隙間を作ってオープンにした状態の方が、可能性は広がるものです。
あくまで理想として、そうあって欲しいと思いますし、私もそうありたいと思っています。
仕事を失うかもしれないと思いながら関わるよりも、一つの作品にこちらも出せるものは惜しみなく注いで、一緒に感動を味わえたなら、それはかけがえのないものです。
・アーティストとの信頼関係
こういったすべてのことは、信頼関係の中でこそ成り立つものです。
どうすればお互いに信頼しあえるのかを考え、実行していくことも大切です。
作品を生み出すことのできる人、自分を表現できる人に対して、最上級のリスペクトを感じます。エンジニアは、アーティストが持っているイメージをより正しい形で表現するための存在であるべきです。
アーティストなくしてエンジニアという存在はあり得ません。
レコーディングで、こういう音にしたいと言われた時、どれだけ多くの選択肢を持って、スピーディーにそれを提案、実行できるのかを日々考えて試していきます。
それに必要なものを揃えたり、知識を深めて、経験を重ねていく中で、信頼は生まれるものだと思います。
素晴らしいアーティストと音楽に向き合い、ともに作品制作ができる時が最高の瞬間です。
感謝を忘れずに、信頼されるエンジニアでありたいと思います。
今回は、私なりの考え方、スタンスが伝わるといいなと思い、本記事を書いてみました。
少し仰々しく感じられるかもしれませんが、ぜひ音源制作の際はお気軽にご相談いただけますと幸いです。
最高の音源をともに作りましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
SHOGIN ENGINEERINGではオンラインミックスダウン、マスタリングをはじめ、レコーディング、ナレーションなどの整音作業、ピッチ補正、MVやトレイラー映像制作、楽曲アレンジ、チームによるバンドプロデュース、ミックスダウンやマスタリングのプライベートレッスンなどを行っております。
レコーディングスタジオ Studio Borrajaでレコーディングもできます。
お問い合わせはこちらから。
お気軽にどうぞ。
---------------------------------------
Instagram : https://www.instagram.com/shogin_eng
facebookページ : http://www.facebook.com/ShoginEngineering
Studio Borraja HP : http://shoginengineering.com/borraja
Studio Borraja Instagram : https://www.instagram.com/studio_borraja
---------------------------------------
Comments